【学会登壇】グローバルヘルス合同大会2024でマラリア対策の有用性を発表
ドローン×AIで媒介蚊の幼虫生息水域の特定を効率化
AIと航空宇宙技術でグローバルヘルスや気候変動課題に取り組むSORA Technology株式会社(本社:愛知県名古屋市、Founder兼CEO:金子洋介、以下ソラテクノロジー)は、2024年11月に開催されたグローバルヘルス合同大会2024(沖縄県糸満市、実行運営委員長:小林潤)において、「Identification of Anopheles Larvae Breeding Sites Using Machine Learning and Establishment of Data Collection System in Sierra Leone 」という発表題目で、ソラテクノロジーがアフリカで展開するドローンとAIを組み合わせたマラリア対策に関する発表を行いました。
本発表ではソラテクノロジーのマラリア対策手法の概要について述べ、特にドローンによって取得可能な情報からマラリア媒介蚊の幼虫(ボウフラ)繁殖地を特定するAIの研究開発について、シエラレオネでのデータ収集法やその解析結果、AIへの応用結果などを紹介しました。
シエラレオネとガーナでのボウフラの生息調査
ソラテクノロジーは2024年2月〜6月、マラリア被害が深刻なシエラレオネとガーナの2カ国で水たまりや水路などにおける媒介蚊の幼虫(ボウフラ)の生息状況の調査を行い、約2800個の水たまりを発見し、そのうち有効な教師データとなった約1700個中、683個でボウフラの生息を確認いたしました。
ボウフラの生息状況を分ける大きな要因は濁度と植物の有無
調査では水たまりの濁度(濁り具合)や水深、周辺に植物があるかどうかといった特徴を記録し、ボウフラ生息との関係性を分析したところ、 濁度と植生の有無が大きな要因であると解釈できる結果を得ました。
マラリアを媒介するハマダラカのボウフラは、水が綺麗すぎても濁りすぎていても生息しておらず、水たまりの周辺に植物があった方が生息確率が上がるという傾向が見られました。
AIの機械学習で精度の高い生息リスク判定は可能
AIを使ったボウフラ生息リスクの判定において、複数の環境要因を組み合わせて分析することで、ボウフラが生息するリスクが高い水たまりの判別を実用的な精度で行えることが分かりました。
このことはソラテクノロジーが進めているドローンとAIを組み合わせたマラリア対策が従来の方法と比較して、効率的かつ経済的に実施できることを示しています。
ソラテクノロジーのマラリア対策
これまで人海戦術で行っていたマラリア対策を最先端テクノロジーを用いて超効率化することを目指しています。ドローンで上空から発見した水たまりをAIによる画像認識で媒介蚊の幼虫(ボウフラ)が生息しているかどうかをリスク判定し、生息リスクが高いと判定された水たまりにのみ殺虫剤を散布します。
全ての水たまりに殺虫剤を散布していた従来の方法と比較して、高リスクの水たまりにだけ殺虫剤を散布するため、少ない人手で実施できる上、殺虫剤による環境への負荷軽減が期待されます。
グローバルヘルス合同大会2024とは
開催日時:2024年11月16日、17日
開催場所:沖縄県糸満市
大会会長:琉球大学保健学研究科 小林潤、台湾・國家衛生研究院 邱弘毅
テーマ:Proposals from Asia and Pacific Islands
「Proposals from Asia and Pacific Islands」をテーマに、アジア・太平洋地域の一員である日本がグローバルヘルス問題に対してどう貢献できるのか、ヨーロッパやアメリカ、アフリカ大陸にどう発信できるのかを考える学会となっています。「健康、平和、国際移動ーグローバルヘルスが果たす役割を考えるー」と題したシンポジウムを開催するなど、かつてマラリアが流行していた沖縄から日本が取るべき行動を探っていきます。
大会ウェブサイト:https://www.okinawa-congre.co.jp/gh2024/index.html
ソラテクノロジーについて
ドローンとAI技術を活用し、気候変動や健康リスクといったグローバルな課題に取り組み、次のような領域でソリューションを提供しています。
1.感染症対策
SORA Technologyは、マラリアやコレラといった感染症の拡大を防ぐための予測システムや防除支援システムを開発しています。AIを活用し、気候データや感染パターンを分析することで、地域や時期ごとの感染リスクを予測し、迅速な対策を可能にします。
2.農業分野での温室効果ガス削減
特にメタンガスの削減に注力し、農業活動から発生する温室効果ガスを監視・削減する技術を提供しています。ドローンを使ったデータ収集とAI解析により、効率的かつ持続可能な農業を支援しています。
3.災害対応と気候変動への適応
気候変動によって増加する自然災害(洪水や干ばつなど)への対応策をサポートし、地域社会が災害や疫病に強くなるためのソリューションを提供しています。
これらの取り組みを通じ、SORA Technologyは「災害や疫病に強い持続可能な社会」の実現を目指し、グローバルな健康と気候変動の課題解決に貢献しています。
本件に関するお問い合わせ先
SORA Technology株式会社 広報:佐藤
E-mail:ichiho.sato@sora-tech.com